Gemini さん教えて!
Jw_cad の歴史を教えてください
日本の建築・設計業界を支え続けているフリーの2次元CADソフト「Jw_cad」は、30年以上の歴史を持つ非常にユニークな国産ソフトです。
高価な海外製ソフトが主流だった時代に、日本の建築士たちが「現場で本当に使えるものを」と手弁当で開発し、今なお進化を続けています。その歩みをいくつかの時代に分けて振り返ってみましょう。
1. 黎明期:MS-DOS版「JW_CAD」の誕生(1990年代前半)
1980年代後半から1990年代初頭、CADソフトは1本数十万〜数百万円、それを動かすコンピュータも100万円以上する「高嶺の花」でした。
- 開発のきっかけ当時、建築設計の現場にいた清水治郎 氏と田中善文 氏(後に岡野輔仁 氏も合流)が、「自分たちが実務で使いやすい、製図板の延長として使えるCADを作ろう」と開発をスタートしました。
- 1991年:MS-DOS版の公開PC-9801などのパソコンで動作するMS-DOS版「JW_CAD」が、パソコン通信(NIFTY-Serveなど)を通じてフリーウェアとして公開されました。
- 圧倒的な普及無料でありながら、日本の建築図面特有の「バリカンのような壁線」や「通り芯」が簡単に引けるなど、現場目線の機能が満載だったため、またたく間に個人事務所や工務店の間で爆発的なシェアを獲得しました。
2. 転換期:Windows版「Jw_cad」への移行(1997年〜2000年代)
1995年の「Windows 95」の登場により、パソコンの主役はMS-DOSからWindowsへと移り変わります。
- 1997年:Windows版(Jw_win)のテスト版公開Windowsのグラフィック環境に対応するため、ゼロからプログラムを書き直したWindows版(開発コード名:Jw_win)の開発がスタート。
- 「J」と「W」の由来開発者である清水氏(Jiro)と田中氏(Won / 田中氏のニックネーム)の頭文字から、現在の「Jw_cad」という表記が定着しました。
- コミュニティによる進化インターネットの掲示板(BBS)を通じて、全国のユーザーから不具合報告や機能要望を直接募り、開発者がそれに応える形で爆発的な進化を遂げました。
- 解説本による普及インターネットがまだ一般的でなかった層にも、解説本に付属する「CD-ROM」を通じて日本全国の設計者に広まりました。
3. 定着と成熟期(2010年代)
日本の建築基準法の改正(天空率制度への対応など)にも素早く無料アップデートで対応し、実務に欠かせないインフラとしての地位を不動のものにしました。
- 2015年(Version 8.00)グラフィック処理に「Direct2D」を採用し、パソコンのGPU(グラフィックボード)を使った高速描画や、Windows 8などのタッチパネル操作に対応。古いOS(Windows XP以前)へのサポートを終了し、近代的な設計へと舵を切りました。
4. そして現在へ:約10年ぶりの大刷新(2025年〜)
長らくバージョン8系統のマイナーアップデートが続いていましたが、大きな転換期を迎えました。
- 2025年6月:待望の「Version 10.00」リリースメジャーバージョンアップとしては、2015年以来、約10年ぶりとなる最新版が公開されました。現在の最新のWindows環境(Windows 11など)や高解像度ディスプレイに最適化され、今なお現役のソフトとして進化を証明しました。
💡 Jw_cadが歴史に残る理由
Jw_cadの最大の特徴は、「これほど普及しているプロ用ソフトでありながら、最初から現在まで一貫して『無料(フリーウェア)』であること」、そして「日本の建築実務の商習慣に100%特化して作られていること」です。
AutoCADなどの世界標準ソフトが台頭するなかで、独自の「クロックメニュー(マウスのドラッグ方向でコマンドを選択する機能)」や、独自の「JWW / JWC」フォーマットを守り抜き、日本の建設業界のDX(デジタル化)の底上げに大きく貢献した、まさに「生ける伝説」と言える国産ソフトです。
